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オリジナルBL小説をお披露目しちゃいます

テンシの誘惑 ④

    第四章  ミスターエンジェル

 Xデーははたしていつやってくるのか。戦々恐々としている創の携帯電話に総一朗からのメールが届いたのは三日後の、木曜の夜だった。

 ラブホテルに泊まったあの時、こちらが泥酔し、正体を失くしている間にアドレスを手に入れていたのだろうと思うと、末恐ろしくなる。

『明日の夕食はフレンチのディナーよ。そこでテーブルマナーを勉強しますから、きちんとした格好をしてくるように』

 ナイフとフォークの絵文字入りには恐れ入る。今時、絵文字を喜んで使うあたりがオヤジだなと思いつつ、創は返信の文面を入力し始めた。

『きちんとした、っていっても、就活用の普通のスーツしか持っていないけど、どうすんだよ?』

 そう訴えると、ワイシャツにアイロンがかかっていて、ネクタイを締めていればいいという返事。

 なぜ、彼の命令に従わなければならないのかという不満はもちろんあるが、高級ディナーを奢ってくれるという話に食指が動いた。

 表現が古臭くて恐縮だが、これはリッチな中年と援交する女子高生か、それとも有閑マダムお気に入りの若いツバメといったところか。

 どちらにも当てはまるような、そうでないような微妙な状態ではあるけれど、学生時代から引き続いての、一人暮らしの貧乏生活を送る身としては、一食分の経費が浮いていいじゃないかと、創は自分を納得させた。

 例の写真、あるいは動画をばら撒かれる恐れはあるし、ここはおとなしく相手の言う通りにして、妥協するべきなのだ。

 こうして退社後、入社式の時と変わらない服装で創が出向いたのはH市の駅の近くにある、この付近ではもっとも高級とされるシティホテルだった。そこの正面玄関で、既に到着していた総一朗が創を出迎えた。

 今夜のスーツは紫紺で、淡いブルーのワイシャツに、紺地に銀色の柄の入ったネクタイを締めている。

 ホストと見紛うばかりの、いつものド派手な格好──

 火曜日は黒と赤で統一、水曜は紫のスパンコールがついたジャケットだった。昨日はたしかオレンジ色だったような……

 ──それよりはシックな服装でいくらかマシと言えるが、それでもこの並外れた美形が人目を引く人物であるのはたしかである。

 顔の皺は少ないし、白髪もなくて髪の量も多いから実年齢よりずっと若々しく見える。せいぜい三十代前半、いや二十代後半でも通用するだろう。

 こうして何気なく立っていても、若い女からオバサマたちまでが皆、彼を振り返って見ているし、女性ばかりでなく男をも振り向かせるあたり、全身から人を惹きつけるオーラが出ているのかもしれない。

 あれでオカマじゃなかったら、真っ当な紳士だったら、ずいぶんとモテるはずなのにと思いつつ近づいて行くと、創の姿を認めた総一朗は片手を挙げて合図をした。

「ここの最上階のレストランなのよ。向こうのエレベーターに乗るから」

 男二人でフレンチのディナータイム、店の者や他の客の目にはどう映るのか。

 二人の、その年齢差十九歳。親子ほどの差はあるが、見た目は『似ていない兄弟』あるいは『年の離れた友人同士』というのが妥当だろう。まさかゲイのカップルなどという、おぞましい冗談は勘弁してもらいたい。いや、考えすぎ、被害妄想というやつか。

 案内されたフレンチレストランはヨーロッパテイストの格式高い、アールヌーヴォー調の店で、インテリアはオリーブグリーンでまとめられ、落ち着いた雰囲気となっている。

 大きな窓の向こうには都会の、とまではいかないがそれなりの夜景が見渡せ、そんな窓際のテーブル席に案内された二人は向かい合わせに腰かけた。

 テーブルには淡いピンクのクロスがかかり、ナイフにフォーク、グラスが仰々しくセッティングされていて、それらを目にしただけで創は緊張してしまい、ぎこちなく辺りを窺った。

「何きょろきょろしてるのよ」

「い、いや、別に」

 最初はカンパリソーダでアミューズ・グールを楽しみ、次に差し出されたワインリストを見た総一朗は何やら指で指し示して、赤ワインをオーダーした。

「一九七八年のシャトーピションね。こちらをお願い」

 やがて蝶ネクタイをしたソムリエが総一朗のグラスにルビー色の液体を注ぐ。テイスティングというやつだ。

 オッケーが出ると、目の前のグラスにも同じワインが注がれて、そんな一連の動作を創はぽかんと見守っていた。

 テレビドラマで観たことはあるが、実際に目にするのは初めてのシーンに呆然としていると、総一朗がクスリと笑った。

「何? ぼんやりしちゃって」

「べ、別に、ぼんやりなんかしてねえよ」

 優雅にグラスを傾けたあと、総一朗は「ワインのお味はいかがかしら」と訊いた。

「酒はいつもビールかチューハイだし、飲みつけてないから美味いかどうかなんてわかんねえよ」

「まあ、そうかもね。あ、ナイフとフォークは外側から順番に使うのよ」

「あのなぁ、そのくらいわかってるし」

「そっちのフィンガーボールの水は飲んじゃダメよ、指を洗うんだから」

「だからわかってるって。誰が飲むかよ!」

 某国営放送あたりで『初心者のためのフルコースマナー』という教養番組があったとしたら、再現フィルムで繰り広げられるシーンはこんな感じだろうか。

 まるでコントのようなやり取りをしながら、二人は美しく盛り付けられたオードブルを食べ、次にスープ――じゃがいもとポロ葱の冷製ポタージュへと進んだ。

「いい? スプーンで手前からすくうのよ。音をたてないように、エレガントにね」

「ごちゃごちゃうるせえな」

「だってあなた、場慣れしてないんだもの」

「悪かったな。貧乏学生から新入社員になったばかりだぜ、コースなんか食べ慣れてるわけねえだろ」

 それはそうだと、微笑む姿が憎らしいような、それでいて暖かく見守られているような不思議な心地がこそばゆくて、創はわざと乱暴に振る舞い、フランスパンをガシガシとかじってみせた。

 それにしても、この料理といい、ワインといい、かなりの値段のはずだ。創は昨日の昼に豊田から聞かされた、開発部第二開発課の新人歓迎会の話を思い出していた。

 今週の水曜日は「残業はなるべく控えましょう」をスローガンにした、いわゆるノー残業デーとなっていて、その晩、開発部社員たちによる豊田の歓迎会が催されたのだが、二次会の費用の大半を総一朗がポケットマネーで負担したという。

 既婚の同世代がローンだ、教育費だで大変な時に、四十代独身ならではの金離れのよさは当然だが、気前のいいところが彼の人望をさらに高めているといっても過言ではない。

 豊田もすっかりファンになったらしく、先輩社員たちに同調して、総一朗を「ミスターエンジェル」と呼んだ時には思わずのけぞってしまった。

 天氏イコール天使。仕事で行き詰った時やプライベートな悩みにも親身になってくれる彼は部下たちにとって、まさに救いの神ならぬ天使ということらしい。

(エンジェル……天使ねぇ。とんだ『まくらことば』だぜ)

 四十過ぎのオッサンにエンジェルはなかろうとも思われるが、見た目は年齢不詳かつ、いくらか中性的なルックスのお蔭で、部下たちの間でも違和感なく使われているようだ。

「何よ、じろじろ見ちゃって。アタシってそんなに魅力的かしら」

「よく言うぜ、まったく」

 鼻にかかったような甘いテノールで、厚かましいセリフを言ってのける総一朗の態度に肩をすくめたあと、創は改めて彼に質問をした。

「あのさ、ひとつ訊きたいんだけど」

「せっかくのお料理がまずくなるような話題はやめてよね。それが食事時のマナーよ」

 そう言われて躊躇してしまった創だが、早く話せと促す視線を受けて、再び口を開いた。

「ゲイ……もそうだけどさ、オカマ……近頃じゃ、おネエって呼ぶのが主流だっけ? とにかく、どうしてそんなふうになったのかなって。普通にしていればすごくモテたはずだし、その……」

「やっぱり、まずくなる話題だったわね」

 嘆息した総一朗はワインで唇を湿すと、憂いを帯びた目で創を見た。

「アタシが生まれたとき、まわりの誰もがまるで天使のような赤ちゃんだって、そう言ったらしいわ」

(おいおい、そこでもエンジェルかよ)

 呆れながらも黙って聞いていると、我が身を嘆いているのか自慢話なのかわからない彼の話は淡々と続けられた。

 総一朗曰く、エンジェルベビーはおとぎ噺に出てくる王子様のような美少年に成長したが、年頃になった彼はそこで自分の性的指向に気づいてしまった──女に興味が持てない、男が好きなのだ、と。

「はっきりと自覚したのは小学校高学年のときね。友達だと思っていた同級生を意識するようになって……サッカー部だったかバスケ部か忘れちゃったけど、爽やか系のイケメンだったわ」

「ふーん。じゃあ、そいつが女にモテて、さぞムカついていたんだろうな」

「アタシも女子には人気があったからお互い様だったんだけど。小学校、ううん、幼稚園の頃から女の子にはモテまくりで」

 創の訝しげな目に、本当よ、と総一朗は主張した。

「お友だちになってと言われているうちはよかったけれど、バレンタインデーとか卒業式とか、そういう機会に、本格的な告白を受けるようになったら、それを断ることによって、彼女たちを傷つけるのが心苦しくなったの」

 女性を愛せる体質ではない。だが、男の格好をしている限り、女たちは彼をゲイとは知らずに近寄ってくるだろうし、そのたびに彼女たちの求愛を断り続けなくてはならないのだ。

 自分の性に対して違和感を抱いているわけではないから、ニューハーフなどのトランスセクシュアルとは違うし、女装の趣味も、そういう服を着たいとも思わないので、トランスヴェスタイトでもない。

 では、どうすれば一見してゲイだと認めてもらえるのか。考え抜いた挙句、総一朗はオカマを演じることに決めた。

 オカマはトランスセクシュアルに近いけれど、多分に演技でカバーできる。そういうキャラを売りにしている芸能人も少なくはないし、彼ら全員が本当にトランスセクシャルであるとか、ゲイの指向があるとも思えない。つまり『演じている』のだ。

 そんな芸能人に倣って、一応紳士物ではあるが、色や柄が派手めの服装をする。そこに加えて、日常会話におネエ言葉を使用。これらはオカマキャラを構築するのに重要な要素と考えられる。

 こうして、見かけのオカマ像を作り上げる作戦は見事に成功し、女たちは総一朗を男とみなさなくなった。

「オカマって便利よ~。三十歳もとっくに過ぎて、お見合いの話が次々と持ち込まれるようになったけど『アタシはコレだから無理~』でオシマイ」

 総一朗は右手を頬に当て、しなを作るポーズをしてみせた。

「いちいち断ったりしなくてもいいから、すっごく楽なの。お蔭ですっかり板についちゃった」

 それなりに説得力のある話に、創はなるほどと、うなずいてしまった。

 中身がゲイでも、見た目が普通の男ではわからないが、オカマの姿をしていれば即座にそうと判断され、説明は不要だ。

「それでも年に一、二回ほどかしら、親切でおせっかいで、オカマ作戦も通じない人が『四十にもなって独身なんて、いい加減に身を固めたらどうだ』って、お見合いを勧めてくれるけどね」

「で、お見合いしたのか?」

「まさか。『男たるもの、家庭を持って一人前だ』って、理屈はわかるけど」

 ひと昔前までは当然のように聞かされた言葉だが、個人の生活観の多様化、結婚観が流動的になった昨今、そういう奇特な人は貴重な存在だとは思う。

「最近、自分のライフスタイルを守りたいとか、妻や子供といった存在が煩わしいとかいう理由で、結婚しない四十男の存在がクローズアップされるようになったわよね」

「ああ。何かで聞いた」

「でも、アタシの場合は独身でいたいわけじゃないし、結婚がイヤなわけでもないのよ。どっちかって言うと、願望が強い方かも」

「ただ、女と結婚する気はない、と」

「そういうこと。相手が男なら喜んで、なーんて思うけど、それじゃあ社会の基盤となる一般的な結婚の形態を成さないし」

 それはそうだ。男女が結婚して、子供が生まれて、初めて社会の基盤と認識されているのだから仕方がない。

「いくら時代が変化してきたとはいっても、この国で男同士の結婚が認められるなんて、これっぽっちも期待していないけどね」

「そのあたりのことはよく知らないけど、パートナーシップがどうこうって」

「まだまだ始まったばかりよ。若い人はともかく、上の世代の意識を変えるってのは簡単にはいかないわ」

 天家長男の、そっちの指向はかなり以前から、両親の知るところだったようだ。

 美形で秀才、エリートコースにも乗った申し分のない男なのに、いつまでたっても彼女ができる気配はなく、見合い話も断ってしまう息子はどこかおかしいのではないかと問い詰められて、ついにカミングアウトしたらしいのだが……

「そのせいで昔気質の父親に勘当されてね。二度とこの家の敷居をまたぐなって。五年前の、母の死に目にも会えなかった……」

 そのことを口にした時、総一朗の顔がわずかに歪んだ。彼の表情に陰鬱な影が差すのを見るのは出会ってこの方、初めてだった。

「お母さんの……」

「あら、ごめんなさい。アタシとしたことが暗い話になっちゃったわ」

 元気に、時に強引に、明るく振る舞う総一朗にもそんな過去があったとわかると、創は複雑な気持ちになった。

 故郷に帰ることを許されず、盆や正月も一人暮らしを続ける彼は満たされぬ思いの代償に、めいいっぱいの愛情を部下たちに示しているのだと思われる。

「……じゃあ、オカマってのは会社や世間に対する仮の姿なんだ」

「仮の姿か、上手いこと言うわね。ま、そうともいえるわね」

「普通に話すこともできる? その、アタシ、とか、そういう言葉遣いじゃなくて……」

「そうして欲しい?」

「聞いてみたいなって」

「いいよ」

 とたんに総一朗の表情が変わり、創はドキリとした。

 伏せた睫毛をゆっくりと上げると、取り澄ました表情でありながら、妖しい瞳でこちらを挑発する眼差しを向ける。

 何て魅力的なんだろう。

 この世代の男性、くたびれた普通のオヤジではそうそう持ち合わせてはいないフェロモンが全開、それは成熟した大人の男の色気を漂わせた顔つきだった。

「では次に、何を話題にしようか、加瀬くん」

「えっ、と、その……」

「せっかくの機会だから、やはりワインについて話そうかな。そもそも、キミの知性と教養を磨くというのが、この食事会の目的だったしね」

 オネエ言葉のしゃべりではなく普通の男性として、と自らリクエストしたのに、何も言い出せないまま戸惑う創に対して、いくらか冷ややかな視線を向けたあと、総一朗は外国産ワインのボトルのラベルから、それがどういうワインなのかを判断する方法を説明し始めた。

 その声ときたら──さっきまでと同じテノールなのに、まるで雰囲気の違う彼に、魔法をかけられたようで身動きできない。

「……で、この『グラン クリュ クラッセ』という部分がぶどう園に与えられている格づけで、その下が品質。これはフランスワインの場合で、ドイツやイタリアはまた表記が違ってくるんだ。聞いているのかい?」

 コク、コクと首を縦に振るものの、難しい講義を受けている学生時代みたいでリアクションがとれず、そんな創に総一朗はやれやれと苦笑した。

「何度も言うようだけど、キミに知識と教養を与えるために、こうしてレクチャーしているんだけどな」

「はあ……」

「そういう反応じゃあ、こちらの気が抜けてしまうね」

「すいません」

 ダメだ、『色気と知性が溢れる大人の男』を目の前にして、カンペキに呑まれている。

 タメ口で言い返したり、反抗したりできる分、オカマヴァージョンの方がマシかも、と創は思った。

 豊かな教養、冴え渡る頭脳に弁も立ち、飛び切りのルックスを備えた総一朗はあまりにも他を圧倒する存在だ。

 だが、それは却って自分の居場所を失いかねないものがある。それなりのレベルの人々が集まる企業や研究施設ならともかく、江崎工業のような、地方の一企業には馴染めず浮いてしまうばかりだが、そこでオカマだ。オカマを演じた方が皆に溶け込め、親しんでもらえる。

 女性に男を意識させないという目的以外にも、オカマにはこんな効用があったとは。創は妙な感心をしてしまった。

 サラダにメイン料理、デザートを食べ終えて、コーヒーにミルクを入れる創の前で、総一朗はブラックのまま、それを飲んだ。

「さて、今夜の講義はこれで終了だ。少しはマシな男になったかな?」

「終了、って、もう帰る……んですか?」

「何か別のことを期待してたのかい?」

「い、いえ、そういうわけじゃ」

 しどろもどろの創の様子に、総一朗は下を向いて笑いを堪えていたが、とうとう吹き出してしまった。

「やっぱり『素』の顔で対面するのは、まだまだ無理のようね。よそ行きの声出して、何しゃちほこ張ってんのよ。ほらほら、エラそうな口利いてみたら? いつもの勢いはどうしたの? 仕方ないわね、オカマに戻るわ」

「だ、だって……」

 唇を尖らせる創をいたずらっぽい目で見たあと、総一朗は「ここはホテルだし、部屋をとってあるから、なんて言い出すと思ってたんじゃないの?」と訊いた。

「…………」

「おあいにくさま。紳士たるもの、ガッつくんじゃないの」

「ガッつくってゆーか、そもそも今夜の誘いはそっちからだし、オレは男とヤりたいなんて、これっぽっちも考えてねえよ!」

 息巻く創、総一朗はそんな彼を侮蔑するように言い切った。

「ヤるとか、ヤらないとか、すぐそっちの方面に直結する発想がペケなのよ。あなた、それで女の子にフラれたでしょう」

 たしかにそのとおり。

 元カノに「セックスだけの男」と言われたのを思い出して、創は憮然としたが反論できるはずもない。

「デートコースはそうね、駅で待ち合わせして、流行りの映画を観てから、近くの店で食事を済ませてホテルへ直行。数少ないバリエーションとして、映画がゲーセンかカラオケに代わる。そんなところかしら、図星?」

 図星も図星、大当たりだ。可奈とのデートはいつもそのパターンだった。

「カフェなんかで、お互い無言でそれぞれ勝手に雑誌を読んでいたり、スマホいじったりしてるカップルを見るけど、あれ、二人で一緒にいて楽しいのかなって思っちゃうわ」

 たしかにそれは『惰性』だと思う。ムスッとしながらも創はうなずいた。

「いい? 最終的にはホテル……そうなったとしても、そこに至るまでの、二人で過ごす時間を楽しむことを考えた上で、デートコースをプロデュースしなきゃ、イイ男失格よ」

 料金の支払いを終えた総一朗は次に「さて、それじゃあ明日は和の世界へ御案内するわ」と言い放った。

                                 ……⑤に続く